「今お前、なーんだみたいな顔しなかったか?」


「……してないけど?」


「チャリのがバスより早いし。送ってやる?」


車なめんな、と思ったけど。

絶対バスのが早いって知ってるけど。



翔琉と一緒に帰りたいから思わず頷く。


て言うか、早くお姉ちゃんに会って、今すぐ確かめたい。本当のことを。



「ほい、乗れ。んで、つかまれ」


ごく当たり前のように、ポンポンと言ってるけど……


ドキドキを悟られないように、ナチュラルに乗ったつもり。


動き出した自転車は、風を切って走り出す。


「……なよ」


「え?なに??聞こえない!」


「お前さ、結実ちゃんを問い詰めるとかするなよ?」


……漫画なら、今あたしの顔の横に『ギクッ』って描いてあるとこだわ。