「逃げ足、意外と早ぇえな……つか、なんだ、違いますって」


翔琉の息が少し上がっていて。


あたしだって、息が苦しい。


「だって……ナンパか変態かと。追いかけるとかあり得ないし」


「ちょ。一旦休憩……はー……」


あたしも、その言葉に頷き、二人でしゃがみこむ。



「……そーいや、お前昔髪の毛短かったもんな。運動出来る人風に」


そうね。
パパの期待に応えたくて、髪の毛も短かったし好きでもないボール遊びとかやったっけな。


「あんたなんて女の子に間違われてたもんね」


翔琉は、昔から整った顔をしていたから。


小さいあたしと、小さい翔琉。


思い出すと、あたし達はいつも笑っていて。


身体の弱いお姉ちゃんは、外遊びにあんまり行けなかったせいか、思い出すシーンには、あまり出てこなくて。