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迂闊だった、としか言いようがないのだけれど。


色々考え込まないように、頭の中をおでんで一杯にした、結果。


何だか空腹も手伝って、あれもこれもと買い込み、コンビニを出るまで全く気がつかなくて。



「……おねーさん、いい匂いさせてんね」


不意に背後から掛けられた声にぎょっとして。


ああもう、怖い人?勘弁!!!と思い、


「ちがいます!! 」


と叫んで、おでんの汁がこぼれないよう意識しながら小走りしたところ。


その不審者に追いかけられるという恐怖体験。


走りながら、やばい、追いかけてくる!!いざとなったらこのおでんを投げつけて怯んだすきに民家に逃げ込んで……とか考えていたら、


「おいこら待て」


ぐっと肩を掴まれて、振り向くと、そこには


「……か、ける」


……翔琉がいて。