「ありがとう。じゃあ、また学校で」


『おう。またな』


翔琉の隣にいるあたしを好きだと言ってくれた黒川君は、あたしの恋を応援してくれている。


電話を切ってからも、しばらくは不思議な余韻が抜けなくて。


少し前までは、全く意識していなかった黒川君だけど、これからは、いい友達になれるような気がした。


告白してくれて、ありがとう。


そんな風に思えた。



あたしも、顔を見なくて丁度良かったかもしれない。


こんな風になりたいわけじゃなかったけど、じゃあ何を望んでいたのかと問われたら困るけど、あたしは確かにバレンタインのあの時、黒川君の悲しい顔を見たくなかったんだ。


デートだ、という最中に表情に違和感があったのは、あたしの気持ちが黒川君にないという事が最初からばれていたから。


ぼんやりとそんなことを考えていたら、いつの間にか部屋の外はすっかり夕焼けが広がっていた。