ぽんぽん、と、希美が優しく背中を叩いてくれて。


「そうだよね、一花は翔琉が好きなんだもんね」


優しいトーンに思わず泣きそうになる。



そうだよ、あたしは翔琉が好きなんだ。


黒川君が、どんなに意外とモテると知ったところで、この気持ちは揺るがない。


翔琉が、あたしと黒川君をくっつけたがっているとしても、知ったこっちゃない。



だから、黒川君のお誘いになんて、のってる場合じゃない。


「……なんかごちゃごちゃしてるし、はっきりさせる」


「……そかそか。黒川、かわいそーに」


何故かニヤニヤしながら言う希美。


「……ねぇねぇ、希美どっちの味方?」


「あたしは、一花の味方よっ。あんたが幸せなら、翔琉とでもいいし、黒川を選ぶならそれでもいいと思うよ」


ぎゅ、と抱きつかれると、希美は甘くていい匂いがした。