いや、でも待てよ。


「やっぱあり得ないわその作戦」


「なんで?」


今度は希美が聞く番で。


「だって……翔琉は、あたしが黒川君にOKの返事を出すのを、喜んでるみたいだった」


あのシーンを思い出し、暗い気持ちになる。



義理チョコすらもう要らないと言って。

ちゃんと自分で渡せとか言って。



突き放して、今まで通りの関係にしれーーーーっと戻って。


あたしとは、『ただの幼馴染み』でいることを望んでいるらしき、翔琉。


それすら、本当なら喜ぶところなのかもしれない。


お姉ちゃんにふられて、ただの幼馴染みどころか、あたしの顔も見たくないと言われてもおかしくないわけで。


あーあ、もう。



思わず大きくため息をつく。