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「……誰と、誰が、デート?」
「俺と、木村が、デート」
この人ふざけてるの?と思うほど、あたしの口調に似せて答えてくる黒川君。
それは全く突然の話で。
朝のことなど色々聞きたい、と思って部活に行こうとする黒川君を引き留めてみたところ、デートしよう、と誘われるっていう。
……なぜにそうなる?
「今度の土曜日。10時に、駅前のとこ」
すっごいサクサク決めてくるんですけど。
あたし、まだ何も言ってない。
て言うか、とにかく付き合ってないよ、ってまずは言わないと。
「あの……「わりぃ、部活遅れるからまた!」
足が完治していなくても、部活に遅れまいとする黒川君は、やっぱり真面目で。

