「……あたしだけが悪いわけじゃないし……」


思わず下を向く。


「うわっっ。んじゃ、ずーーーっとこのまんまでいいんだ?知らないよー、そのうち、翔琉の心の隙間に別な子が入り込んじゃったりして」


……心の隙間に?


「……の、希美、あのブラウニー分けて……」


ヴォーーーーーン、と静かに稼働中のオーブンを指差す。


「だめ」


……え??


「あのブラウニーには、あたしの博己への気持ちと、うちらの友情しか込めてません」


「え……」


戸惑うあたしの目の前を、びしっっと希美の指が横切る。


「材料なら、たんとあるから、自分で作りな」


そこには、確かに沢山の材料。