お姉ちゃんが好きなくせに、一緒に登校なんてしないでよ。


お姉ちゃんが好きなくせに、にこにこしながら話しかけないでよ。


お姉ちゃんが好きなくせに、あたしは特別とか言わないでよ。



……ていうか。

いいならいい、って……。


あたしが黒川君に、OK出してもいいっていうの?


……そりゃそうか。関係ないんだもんね。



「……翔琉には関係ないでしょ?お姉ちゃんにフラれたからって八つ当たりしないでよ!」


言ってから、しまった、と思った。


でも無理。


「……それもそーだな」


低く、響いた声を残して、翔琉が静かに回れ右、をする。


走り去るわけでもなく、ゆっくり歩いて去っていくその背中は、とても冷たくて。


全力であたしの言葉を、て言うかあたしの存在自体を、拒絶していて。


あたしは、翔琉の姿が見えなくなるまで、じっと見つめることしか出来なかった。