冬休み中、余りにも翔琉に行き合わないので、ママにそれとなーく聞いたところ、


『えーだって桐原家はブルジョアだもん、毎年年末年始温泉旅行だのなんだの、行ってるじゃない』

と、さらりと言われ。


そう言われてみればそうなんだけど。


べつに不自然じゃないんだけど。


『あんたと違って部活もあるし、忙しいんじゃないのー?あ、デートとかかもよ』


なーんて、しゃれにならないママのおふざけをスルーしたことを思い出す。


「翔琉、日本にいた?」


バスに揺られながら、小声で、聞いてみる。久々の至近距離で、さっき突っつかれた頬が熱くなる。


「あ、故郷のおフランスの方に少し」


ん、もーーーー。


突っ込みがわりに肘で小突く。