明野さんは前と同じようにソファーに座っていた。
だからわたしはお茶の注がれたグラスを同じように明野さんの目の前に置いた。
この間と同じ動作でダイニングテーブルの椅子に座り、そして聞いてみた。
「お話って、何?」
その後訪れた僅かな沈黙もわたしに緊張を与えるには充分だった。
「…ごめんなさい、あたし、ただ家に帰りたくなかっただけ、なの」
「………。」
「最近景とも上手く行ってないし、。
あはは、駄目だね、こんな事で挫けちゃ」
「…そうね。」
自虐的に笑いながらそう話す彼女に返事をし、そしてぽろっと出た忠言。
「でも、本当に追い詰められる前には逃げなさいよ。」
相手は彼女か、過去の自分か、
「…うん」
返ってきたのはちゃんと理解できているのかもわからない生返事。
「そうね、とりあえず、」
わたしは立ち上がり、明野さんの目を見て話しを切り出した。
「泊まっていく?」
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