「沙菜、風邪に気をつけるんじゃなかったの?」
「あ、そうだった!
ごめん、ちょっと手、洗ってくるね」
そう言ってトイレに向かった明野さん。
彼女が去っていった途端、片桐さんは先ほどとは違いあからさまにこちらを見てきた。
なんですかと聞くと片桐さんはわたしから手元のグラスに視線を移し、ストローでかき回し始めた。
「ねぇ、」
カラカラと氷同士のぶつかる音が響く中、片桐さんは口を開く。
「あなたはどう思ってるの」
―沙菜のこと。
そう言ってわたしの目を見た彼女の表情は先ほどの笑顔とはかけ離れていた。
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