午前中はずっと明野さんたちを見ていた。

昨日の今日なのに彼女が悲しそうな素振りを見せる様子はない。
だけど昨日より明るく振る舞っている様子もない。


そして、5時限目。

「おはよー」

授業中の煩い教室に元気な声が響いた。


皆の視線が後ろのドアに集まる。

わたしも例外なく右後ろを見ると顔も手も傷だらけの金髪女子が現れた。


「あ、ゆりちゃん!
おはよ!」

一番に反応したのは明野さん。

「沙菜じゃん!はよ~」

きれいな笑顔で笑うその金髪女子。

「また喧嘩したの?」

と聞いた明野さんに金髪女子はあはは~と苦笑い。

席は中山 景の通路を挟んだ隣らしく、ずっと空いていたそこに金髪女子はどかっと座った。

「ん?転校生?」

わたしたちが視界に入ったのかその金髪女子はこちらを見て言った。

「うん。
えぇっと…2日前に編入してきた美歌ちゃんと…るいくん。」

「……高橋 美歌です。」

わたしが名乗ったことが予想外だったのか、松下 大和をはじめ立花 守や青山 大河、笠原 玲もわたしを驚いた目で見た。

「OK、高橋さんね。
あたし、片桐 由里香。
よろしく」

そう、片桐さんはニコッとしながら言った。

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