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「はい。」
無駄に背筋を伸ばしソファに座っている明野さんの目の前に紅茶を置く。
桃の良い香りがするピーチティーだ。
「あ、ありがとう…。」
明野さんは飲もうか迷った末に両手でカップを持ち、口元まで運んでいた。
それを横目にわたしはダイニングテーブルの椅子に座る。
「……。」
しばらくの沈黙。
シーンと静まった部屋に時折響くのはティーセットの'カチャ'という音だけ。
「あの、」
そんな中先に口を開いたのは明野さんだった。
「なに?」
「…聞かないの?」
何を、なんて聞かなくてもわかる。
勿論気にならないと言えば嘘になるだろう。
目の前で泣いていた人を家まで連れてきたのに。
けどやっぱり、
「どうやって聞けば良いのか、わからないから。」
ここは直球で聞いた方が良いの?
それとも何も聞かないでそっとしておいた方が良いの?
そういうことが、わたしにはさっぱりわからない。
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