「ッ、」
初めて乗ったバイクは凄いスピードを出して走った。
ひさしぶりに'気持ちいい'と感じた。
目を閉じ風を感じているとだんだん湿った生暖かい風になっていった。
目を開けると夕日に照らされオレンジ色に染まった海が見えた。
ブオンブオンというバイクの排気音が止まったと同時にわたしはオレンジ色のそれに近づいた。
◇
「おかーさん、きれいきれい!キラキラしてるよ!」
「本当だねぇ
2人とも、もっと海の近くに行こう。」
「うみ?」
「そう。これは海って言うの。
綺麗だねぇ」
「やだ~ボクこわい~」
◆
「おかーさん、つかれたー」
「もう少し待ってね。
もう少しでこの青い海がみかん色になるから」
「おかーさん、おかーさん!
みてみて!
うみがみかんのいろだよ!」
「まぶしい…かえろーよ」
◇
目の前に広がるのは、あの時の'みかん色'。
あの時と同じ、胸がいっぱいになる感じ。
「おかーさん…」
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