「あー楽しかったー」

そう言いながら歩く明野さんの隣には中山 景。
繋がれた手はしっかり絡まっている。
ダラダラ歩きながら単車の鍵をクルクルと器用に指で回しているのは青山 大河。


「おーい!
早く、早くー!」

夕日と重なり逆光で顔がよく見えないのは笠原 玲。
ずいぶん早く駐輪場に着いたようでそもそも体が30cm位に見える。

「はいはいちょっと待ってねー」

そう少し大きめな声を出し笠原 玲に答えた中山 景。

その棒読みに不満を感じたのか笠原 玲はこちらに走って戻ってきた。

「ねえ、2人は誰の単車に乗るの?」

こちらに来た途端にそう聞いてきた笠原 玲。
相手はわたし達だ。

事の発端はほんの数十分前。
人生ゲームというすごろくをやり終えた時だった。

~

―玲「2人って単車乗ったことある?」

―瑠「ない。」

―美(いつも車か徒歩だからね)

―玲「じゃあ僕らが乗っけるから体験してみようよ!
気持ちいいんだよ!風が!」


~