「春木…………」

その言葉を最後に嘉夏の呼吸が止まった。
血だらけの顔で。

また一人死者がでてしまった。
毎日楽しそうに大地と連む嘉夏の笑った顔が思い浮かぶ。
でももうここに嘉夏の笑った顔はない。


「…うっ、うっ」

静かになった部屋に栞の嗚咽混じりの泣き声が響く。

大地は嘉夏の横で床に膝をついた状態のまま涙を流した。

「…………嘉夏、ごめん」


「スゥーーーー」

何か空気が入ってくる音がして、
そこで栞の記憶は途切れた。