「やだって言っても求めたのはそっちでしょ。もしかして初めて?」
求めた?
初めて?
「違うっ違う、何これ、あなた誰?」
「あれ違ったの?」
「そうじゃなくて!」
あの王子・伊織くんはどこへ?
目の前にいるのは誰?
「あなた誰ってさ、
さっきから伊織くんって君、呼んでるよね。」
「そ、そうだけど....いつもと違う....。」
「いつもって....君はいつも僕のこと、どう見えてるんだろうね?」
くすり、と色っぽく笑う。
....左の目元のホクロがかわいい。
そして同時進行で片手がスカートをめくり上げた。
さすがに私でも伊織くんが何をしようとしてるかなんてわかる。
「お願い、やめて.......!!」
すると、ピタリと手を止めた伊織くん。
もしかして、私の言うこと聞いてくれた?
というか、あれ?
なんだか私の鼻に違和感が…。
「うん、鼻血出してる子をいくらなんでも無理にしようとは思わないよ。
君、処女みたいだしどうせ下からも血は出るだろうけど、鼻血はね。」
は、はなぢ?
「それに萎えたしね。」
ポタリ、とカッターシャツに落ちた液体は血だった。
鼻血に救われた.....。
「汚い。僕につけないでね。」
それだけ言って進路室から私を置いて出て行ってしまった。
...........本当にあの人、誰?


