次の日進路室にて。
「君、理系だよね。
なんでわざわざ男ばかりのむさくて臭い無法地帯に行こうとするの?食われたいの?」
「え、いや...。」
というか、昨日は名前呼んでくれたのに戻ってる。
「そんな危険なところへ向かおうとする、か弱い君に手を振って見送るなんて惨いことはさすがに僕にはできないよ。」
「でも、だからってどうしろと....。」
「はい、模試の成績提出。」
すぐさま取り出し、渡すと「うーん。」と少し唸った。
私の残念な偏差値と残念な志望大学の判定を見られてると思うとやっぱり恥ずかしい。
「ま、いけるか。君の偏差値を10上げて国立の女子大に行かせてあげるよ。
今まで私大志望だったみたいだけど、国立なら学費安いし、元々理系は学費が高いから行けたらとても親孝行だと思わない?その上、女子大に行くことによって危険も回避出来るしね。
極め付けに、僕のマンツーマン授業が受けられるなんて涎出ちゃうでしょう。」
.....はい涎出た。
伊織くんがマンツーマンで勉強教えてくれるなんて!!
いやでも.....
伊織くんの言う通り今までずっと志望校は私大だし、今から国公立に変えてその上偏差値10上げるってさすがに天才王子でも、対象が私じゃ無理なんじゃ.....。
ころころと変わる私の表情に伊織くんがクスリと笑う。
「ねえ、どう?合格して輝く未来を手にしたくない?」
「どこの塾の宣伝ですか....。」
「宮崎塾。入塾しない?僕なら出来るよ。」
でも、伊織くんに言うなら信じられる。
きっとスパルタで勉強地獄になりそうな気がするけど...。
「伊織くんがいるなら、頑張れる。入塾します!」
私は伊織くんの胸に飛び込んだ。
伊織くんは満足そうに微笑んだ。
Fin.