崩壊王子著『受験のススメ』




中学生の時までは勉強は出来た方だった。だから、県で一、二を争う公立高校に合格することが出来た。

高校に入ったはいいものの、入ってからが大変だった。
完全に私は落ちぶれた。

それから三年生になってすぐのこと、分からない問題を近くにいた人に聞いてみたら、すごく分かりやすくて感動した。
——その人が伊織くんだった。

「天才王子」の顔は今まで見たことがなく、名前だけ聞いていただけなので、まさか伊織くんが噂に聞く「天才王子」だとは思わなかった。まして分かっていて声をかけたわけじゃない。


基本的なことばかり聞く私のバカさにさぞ呆れているのだろうと思ったからある日聞いてみた。
すると意外な答えが返ってくる。
「え?そんなこと思ったことない。君はやれば出来るし、僕だってやらなきゃ出来ないよ。」と当たり前のように言った。

この高校には自分が頭がいいことを自覚してる人が多く、プライドも高い人が多かった。だから伊織くんもそうだと思っていたのに、人を見下すことはしなかった。

良い子ぶってるのではなく、本気で、はなから頭に無いようだった。

それが、伊織くんを素敵だと思った始まりだった。






今では素敵なんかじゃいい尽くせないけど。

結局、進路室で体勢が逆転してから少し経つとチャイムが鳴ったから退散した。
次の授業が進路室使うことになっていたから良かった…。

チャイムが鳴った瞬間の伊織くんの恨みのこもった舌打ちと恐ろしい顔が今も忘れられない。

あの舌打ちは、きっと進路室が使うことになっていなかったら私今頃ピーー(自主規制)…ということを意味してるよね…うん。


そして、伊織くんに、この間の模試の成績表を明日持って来いと言われた。なぜ?