会場に着き、ぞろぞろと車から降りてくる。
楽屋に入り、くつろいでいるとあさみがお茶を入れてくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
一口飲むとスタッフから声がかかった。
今日はミュージカルの最終日。
満席だ。
大きな拍手と共に終わりをつげた。
楽屋に戻るとあさみが待っていた。
何か嬉しい。
「スポーツドリンク作ってきたんですけど、よかったら飲みます」
「うん、ありがと」
受け取り飲む。
「凄く美味しいね」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
あさみが微笑む。
ドキッとした。
「所であさみさんは何歳」
「25歳です」
「若いね〜」
「そんな事ないですよ、さとしさんと3つしか変わらないです」
また微笑む。
「所で今晩空いてる」
「…大丈夫ですけど」
手帳を確認する。
「じゃあ今晩…」
「今晩あさみちゃんの歓迎会しようぜ」
剛が入って来た。
「そんな〜いいですよ」
「遠慮しないで、真、予約取れたか」
携帯片手に真がOKサインを出す。
「今5時だから2時間空くね」
店までは20分で着くらしい。
「みんなで話でもしようか」
まさるが席につく。
「あさみちゃんは、何でマネージャーになったの」
「私ですか?大学で募集してて。皆さんはどうしてこの仕事に」
「俺たちはスカウトだったな」
「あぁ、そうだった」
「そうなんですか、人それぞれですからね。何か飲み物買って来ますね」
「あっ、俺も行く」
「俺も」
真が席を立つ。
「じゃあ3人で行きましょうか」
自動販売機に向かいお金を入れる。
真が
「あさみちゃんって可愛いよね」
と言う。
「そんな事ないですよ。自分に自信ないし…」
「可愛いよ」
俺はそっと囁く。
「ありがとう」
ジュースを持ち楽屋に戻る。
まさるは買って来たパックジュースを早速飲み出す。
話をし時間を潰す。
「そろそろ行こうか」

「いらっしゃいませ〜」
活気のある声がする。
「予約した加藤ですが」
「はい、お待ちしておりました。五名様ですね、こちらになります」
奥座敷に通されメニューを見る。
「あさみさん。今日は車」
「電車です」
「じゃあ酔い潰れても大丈夫だね」
「俺も休みならガンガン飲むんだけど」
剛が項垂れる。
とりあえずビールで乾杯をする。
「「お疲れ様」」
一口飲み、息をつく。
料理が運ばれ、あさみが手早く取り分ける。
俺も皿を受けとり、
「ありがと」
と言う。

2時間経過…
「あさみさん飲んでる」
「はい…もう飲めません」
かなり酔っ払ったようだ。
「そろそろ解散するか」
会計を済ませ、あさみを送って行く。
あさみのマンションに着き、車を待たせてあさみの部屋まで行く。
「着いたよ」
「ありがとう」
「あさみさん、明日って空いてる」
「空いてますよ」
「じゃあ、明日11時に迎えに来るから」
「えっ…はい」
俺は急いで車まで走った。気持ちが高ぶる。