殺戮ヒーロー

「……なーんてね!」

「は?」

コロコロかわる夏実の様子に俺はまたついていけずじまいだった。

「これは仮に、もし犯人がヒーローだったらの話!そんな本気にならないでよ!」

「い、いや…だって…」

そんなガチで語られたら誰だって本気にするだろ…。

「私はこの事件の犯人なんて検討もつかないし、ヒーローだったらそりゃあテンションあがるけど、どうせ地味なおっさんとかが犯人なんだろうな……」

「……………。」

さっきの言葉をいった本人とは思えない発言だ。

呆れて物も言えなくなる。

「それよりもさ!気づかなかった?シャンプー変えたんだ!」

夏実は一気に話題を変えるとターンをしながら俺に言った。

「シャンプー?」

「そう!新しく発売されたんだ!いい匂いするでしょ?」

「しらねーよ」

というか急に話題が変わって、頭がついていけない。

「むぅ……」

夏実は不機嫌になりながら、俺に何かを言おうとしたー……が、

時間がそれを許さなかった。

HRを告げるチャイムが校内に響いた。

「やば、チャイムなっちゃった…」

夏実はそう言うと、俺に携帯を投げ返すと急いで自分の席へ戻っていった。

口パクで「携帯没収されるなよ」といいながら。

「余計なお世話だ」

俺はボソッと呟いた。

何年先生にばれないで携帯いじってるも思うんだ。

ぶっちゃけ俺はベテランだぞ?