「携帯返せ。」

「嫌よ!何回携帯持って来ちゃダメって言ったと思うのよ!!」

夏実はそういうとニヤリと笑った。

一見夏実が真面目で、校則を違反した俺を取り締まってるみたいだけど(実際今はそうだけど)

こいつはそんな真面目な奴ではなく、どちらかというと……

「お前だって昼休み携帯いじってんの見てたぞ!」

「ナ、ナンノコトカナ………。」

俺らと同類である。

「他にも携帯持ってきてるやついるだろ……なんで俺ばっか…」

俺は、ハァ…とため息をつきながら言った。

「忠邦が一番いじりやすいからに決まってるでしょ?」

「あぁ?」

夏実は軽く俺への暴言(?)を吐くと、俺の携帯画面へ目を写した。

「へぇー、このニュース見てたんだ…」

「あ、ああ……気になってたからな。」

「ただ、愚痴言ってただけだろ。」

横から智明が言ってきたが、無視だ無視

「都市伝説のヒーロー……現実世界にか……本当不思議だよね…この事件。」

「何言ってんだよ。たかが四五人殺されて、その殺された奴らが元犯罪者や、麻薬密売人とかだったことがわかって都市伝説のヒーローの話と似ていたってだけだろ?」

「でも、ヒーローだってさ、悪を滅ぼすためにどんな手を使うみたいに言われてるじゃん?今回とソックリだよ…」

「たまたまだろ?それに、人殺した時点でそいつも悪だよ…」

後半は鼻で笑いながら言った。

「……………」

夏実は急に無言になると、俺の携帯画面をじっと見つめた。

「夏実?」

「でもさ…」

夏実は一つ間を空けると言った。

「ヒーローがもしいたら?ヒーローって性別、年齢とか何もわからないじゃん?だからさ、ヒーローってどんなに小さい子供でとなれるんだよね。そんな小さい子がヒーローだったらたとえ五人殺そうが六人殺そうがバレる可能性は低いよね……警察が何も掴めてないなら、これはやっぱりヒーローの仕業だよ…」

珍しく、息をする間もないくらいに一気に喋り出した夏実を見て、俺と智明はてだ呆然とその話を聞くしかなかった。