「夏実、なんでそんなに仏頂面してるん?」

中学に、入学してはや半年。

夏実のバリバリの関西弁べだんだんと標準語に近づいてきた。

「ぶ、仏頂面?」

「うん、うち、夏実とずっと一緒にいるんやけど、そんな笑顔とかみたことあらへんし……」

あかりは心配そうに夏実の顔を見つめていった。

「夏実は可愛いんやから、もっと笑顔や!笑顔!」

「か、かわいい!?」

あかりの突然の言葉に思わず素っ頓狂な声が上がった。

「せや!笑顔!ほら、にぃ〜って頬上げてごらん?」

あかりはそう言うと自分の頬をぐいっとあげた。

その表情がなんともおかしく、夏実は思わずクスッと笑った。

「お、笑った!…そっちの方が自然だし、可愛いんだからずっと笑顔でおんなよ。」

「だ、だから可愛いってなに!」

夏実の言葉にあかりはニカっと笑った。

その笑顔を見たときに、夏実のこころに潜んでいたモヤモヤした何かが晴れた気がした。

それから夏実は変わった