呆気に取られる私の腰に回ってきたのは先輩の長い腕で。

わ、と小さい悲鳴が洩れたのと先輩に抱き締められたのは同時で気付いた時には先輩の腕の中。


「夏が俺をムラムラさせようと必死だったのは自分に触れてほしいんだろうなってことは薄々気付いてたけど…大切な彼女だからそんな簡単に手なんか出したくなかったんだよ」


頭上から聞こえる声に脳内若干パニック&心の臓がバクバク音を立て始める。

そんなに…私のことを思っていたなんて…と胸が熱くなる。







けどさ…。


「先輩…甘っちょろいです」

「はい?」

「先輩の気持ちはとっても嬉しいです。もお胸がキュンキュンしてハートで埋め付くされそうな勢いです」

「ハートで埋め付く…?」

「ですが私が先輩に触れてほしいって思ってやって来たことなんです。少しくらい暴走したからといったって嫌いになんかなりません。寧ろ先輩と大人の階段を上りたいくらいです」


お、大人の階段!?と慌てる先輩にほらやっぱりとジト目を向ける。


「せんぱーいかっこ付けたようなこと言ってますけどー本当はこんな風にいちゃいちゃするのが苦手だからっていうだけなんじゃないですか?一つ下の私に攻められて顔を真っ赤にさせる自分を大切にしてる彼女に晒してるなんて恥ずかしいですもんねぇ?」

「な、夏…ちょっと…」

「困りますねぇ〜そんな理由でキスも抱き締めるのも彼女任せだなんて。先輩、私先輩にはもっと狼になってもらいたいと思ってるんです」

「は?無理…」

「無理じゃないです練習あるのみです。では早速先輩彼女が首に手を回して来たらどーします?」

「どーって…やんわり外して離れるけど…」

「違います!そこは腰を抱き寄せてキスするんです。まぁ、私は誘ってるの?なんて散々焦らされるのも悪くないんですけどねー」

「…………」