私の彼は変な男だ。


「いや、変って何?」


分厚い本に向けられていた視線が今、私の両目をばっちり捉えた。


「だってぇ〜彼女と二人っきりだっていうのに読書に夢中なんてあり得ません。もっとこうムラムラして下さいよ」

「夏、あのねそーいうこと簡単に口に出して言うもんじゃないよ」

「ていうわけで読書タイムは終了。いちゃこらのお時間ですよ先輩」

「…あの人の忠告聞いてる?」

「聞いてません。ていうか聞く気がありません。はい先輩ギューして」


腕を広げて先輩がおいでって言ってくれるのを待ってるのに先輩からは毎度お馴染みの溜息のみ。

私何かおかしいかな?

好きな人と一緒に居たらいちゃいちゃしたいって思うよね?

キスしたりとか抱き締められたりとか皆が皆そうじゃないかも知れないけど少なくても私はしたいしされたい。

熱の籠った声で『夏』って呼ばれたい。

なのに先輩は…。