とある怪盗の日常



あっという間に昼になり、ハルトは朝作ったお弁当を食べる。
空と悟は売店で買ってハルトと三人で食べるのが当たり前になっていた。

その近くに天野、天道、星川の女子三人組もいる。
彼女たちはお弁当の話で盛り上がっていた。

「なぁなぁ!何の話!!」

その女子の話に割り込むのは決まって空だった。

「お弁当の話だよ」

天野が答える。

「お弁当かぁ、いいよな飯の話は!
考えただけで腹が減る!
ハルトー、もっかい食わせてくれよぉ」

「嫌だね」

「ケチ」

「これは俺の昼ご飯なんだよ!!」

このような話をし、後半にはいつの間にか6人で食べるようになる。
ハルトは空によく盗食されることが多く、悟が食べ終わったらいつも悟が空の見張りをする。

「そういえば今日のニュース見たか?」

「なんの?」

悟の話題に空はぽけーっとして聞く。

「お前マジで言ってんのかよ…、ニュースくらいは見とけよな
今噂になっている怪盗Nだよ」

「私好きなんだよね怪盗N」

珍しく天道が共感した。
それに続き悟も共感した。
天野は生で会ってみたいといったりし、話はさらに盛り上がった。
一人を除いては。

「そんなに有名なのか?」

「そりゃー、幾つもの美術品を盗んでいるからな」

空の問いに悟ではなく、ハルトが答えた。

怪盗Nの正体は不明。
そして、ネットでは、一切の情報がなく何の美術品を盗んだかだけが書かれていた。
そのくらい彼は謎に包まれている。

その様子を見ているハルトは、合わせてやりたい気持ちと自分が犯罪者である気持ちが合わさって何とも言えない状態になった。

もし正体が彼だと知ったら、彼らはいつもどうり接してくれるのだろうか。
そのことがハルトの頭の中でぐるぐると回った。