「こんばんは」
「こっ、こんばんは……?」
わ、私、男子と喋ってる……!?
女子高に進んでからというものの、部活一筋の私にとって、「彼氏」「恋愛」なんて言葉はすっかり縁遠いものになっていた。
私は自転車通学だから、電車通学中に男子と出会うということを一切ない。
だから、少しでもこんなことがあると、緊張してしまうのだろうか。
「あ、あの……」
ジャージに刺繍された白雪の文字が目につく。
この人は、白雪さん……。
白雪の文字が頭の中で無限ループして、止まることを知らない。
「……初めまして、女子高生の不法侵入者サン」
「ふっ、不法侵入じゃありません! 私だってこの学校の生徒だし、ぜ、全日制だけど……! せ、制服だって来てるし!」
どうしても、テンパって、焦っちゃって声が震えてしまう。
「……じゃあ、証拠」
え?
「証拠を見せてよ」
