休み時間を見計らって教室に入るつもりでいたけど、やっぱりすごく気まずい。


だって、私達が通う昼間の全日制は女子校だけど、夜間の定時制は男子校だから。



変わってるって良く言われる。



同じ学校でありながら、昼は女子校、夜は男子校になるんだから。


定時制は一学年一クラスしかないから、全日制の一年の教室を共有して使っている。だから、教室に忘れ物する訳には行かないんだ。



私のクラスは確か一年だったはず。教室を覗くと今は丁度休み時間らしく、定時制の男子生徒が自由に話したりしていた。



窓側の席で騒いでいる茶髪集団の中に、無言で窓の外を眺める黒髪の男子が一人。一番窓側の列の前から三番目の席。
そこが私の席だった。


へえ、あの人が私の机を使っているのか。そう思うと、少しだけ興味がわいた。



その黒髪の男子は、周りが茶髪なだけあって少し浮いて見える。キリッとしたつり目気味の瞳と右耳に光る銀色のピアスが無言のうちに威圧感を醸し出していた。