あれは確か、片付けを済ませて、荷物の整理をしている時だった。


「あっ、教室に忘れ物して来た……」
「本当に?」


メグこと山城恵がバックを覗き込む。


「教室に忘れ物ってまずくない?」


普通の学校だったら、夕方6時には授業は終わっているはずだけど、うちの学校には夜間に授業を受ける定時制がある。
6時半だからもう授業がとっくに始まっている。


取りに行くのはとても気まずい。


「一緒に取りに行こうか?」
「あ、いや、いいよ! 一人で取りに行くから!」


その忘れ物は誰にも見せられないものだから。絶対に取りに行かなきゃ。