「どこに行くの?」
「さて……どうしちゃおうかな」


どうするって私をどうにかするみたいな言い方……。
連れて行かれる身にもなってよ。


「……図書室は人がいるし」
「うん……え」
「人がいないところが良いよね」


えっ? えっ!?
な、ななな、何でっ……!?


彼の言葉に隠しても隠しきれない戸惑いの波が押し寄せて来て、飲み込まれてしまいそうだった。隣で白雪くんが、いたって真面目そうにつぶやく。



「サボってるのがバレるしね」
「あ、あぁ、そっか」


そういうことか……。
安堵というか、もう声にもならない。



「……何? アンタ、何か良からぬことでも考えてたの?」
「そ、そんな訳ないじゃん」
「俺に見て欲しかったんでしょ?」
「な、ななな、何を……」


火に油を注がれているような感覚。いっそもう爆発してしまいたい。自分が発火装置にでもなってしまったような気分だ。



「屋上なら、開いてるかな」



相変わらず、白雪くんは冷静だった。まるで冷たい氷みたいに。

今は夏で暑いけど、そんな氷は正直いらない。



「あそこなら、誰にも邪魔されないから」





いらないって言ってるんだから……。