「ちょ、ちょっと待って。白雪くん! じゅ、授業はー!?」
「体調が悪いから、保健室行くって言っといた」
「いつ!?」
「アンタが来る前に」


自分の耳を、いや、白雪くんの言葉を疑ってしまう。


「……もし私が来なかったら、どうするつもりだったの?」
「俺ってさ、もしもとかそういうの考えない主義なんだよね」


そういう彼は一切私のことを見ずに、ただつかんだ手は離さないで、淡々としゃべっている。



「それに、アンタは来てくれたし」
「だから、違うって!」



すぐさま否定すると、白雪くんはようやく足を止めた。



「俺は、来てくれたって思ってるから」
「……よっぽどポジティブなんだね」



私がからからって言うと、イタズラっぽく笑う。



「アンタほどじゃないけどな」





それだけ言うと、また白雪くんは歩き出した。どこに連れて行かれるかも分からないまま、二人で歩いて行く。


つながれた手は決して離れなかった。到底離せなかった。