次の日の夕方、部活が終わった後、急いで教室に向かう。
別に白雪くんに会いに行く訳じゃない。そう自分に言い聞かせながら。もしかしたら何か忘れ物でもしているかもしれなくもないから、確かめに行くだけ。
そう、たったそれだけのこと。
「……って、私のバカぁ」
教室の前に着いて気づく。
完全に乗せられてるじゃん。
何で会いになんか来たの。
……いやいや、会いになんか来てない。忘れ物してないか確かめに来ただけなんだから。
「何してるの?」
「きゃあっ!!」
耳元に誰かの息がかかって、びくっとふるえる。
「大袈裟に叫んじゃってバカみたい」
「何だぁ……白雪くんかぁ……ってえぇぇっ!?」
何を今更とでも言いたげな白雪くん。びっくりさせないでよもう。
「来てくれたんだ?」
「べ、別に? 忘れ物してないか見に来ただけ」
私がそっぽを向くと、また視界に割り込んで来た。
「今日は、俺を見て」
「……えっ?」
そして、私の手をつかんだ。
そうこの、私の手を。白雪くんが。
「じゃ、行こうか」