あのファッションモデルが目の前に!? いや、まさか……。


冷静になって考えてみる。その時、大変な事実を思い出してしまった。


「というか、白雪くん、授業は!?」
「何今更……俺、怪我人」


電気がつくまで暗くて気がつかなかったけど、白雪くんの左手の人差し指には包帯が巻かれていた。


「バレーの試合中に突き指。授業見学する代わりにレポート書くの。まあ、俺にかかったら、そんなの10分くらいで書けるけどね」


見学はしないのか。そう思ったけど、口には出せなかった。


「正直言ってバレー好きじゃないし」
「そうなんだ」


背が高いのにもったいないなあ……。運動神経も良さそうだし、バレー向いてそうなのに。何故か素直にそう思った。


「……ありがと」
「えっ? 何?」
「もろもろ口に出てるよ」
「や、やだっ。バカじゃん! 真に受けないでよね」


信じられない。視線をそらすと、わざとらしく視界に白雪くんが入り込んで来る。


「……バカで結構。俺レポート書かなきゃいけないし、もう帰ったら?」


気がつくともう30分も経っていた。はやく帰らなきゃ。そう思って急いでカバンにテストを突っ込む。その時妙に白雪くんの視線を感じた気がする。



「アンタってほんと学習しないよな」




突然白雪くんは私のカバンを取り上げた。