「……瑆くん。」



なんでこの人は、いつもいつもタイミングがいいんだろう。


私は後ろを向いて涙を拭いた。



「あれ?カラオケは?」


「抜けてきた。そっちこそ友達は?」


「……少し会っただけだから。」



ふーん。と言って、私の前にしゃがみ込んだ。



「何、泣いてんの?」


「な、泣いてなんかないよ!」


「嘘つけ。」


私の顔を覗き込む。




ダメだ。目が合わせられない。





そして、そっと指で私の涙を拭った。