シーン…

し、静かだな。

ザッと教室を見渡す。
全体的に派手目な生徒達が多い印象だ。
特に窓際の後ろ一角はガラが悪い。


「皆さん、こんにちは!
今日からこのクラスの担任になった
山中奏太です!短い間ですが、前任の竹内先」

「はいはーい。わかったー。山中せんせーでしょ?もう、1限目の準備あるんで行っていいですかぁー。」


1番前に座っている女生徒が僕の自己紹介を遮った。

「ごめんごめん!じゃあ、皆のことを早く覚えたいから出席だけ取らせてもらっていいかな?じゃあ、浅山ーーー……。」

順番に名前を呼んでいく。
皆、面倒くさそうに返事をしていく。
そんな中、

「真柴 匠ー!」


「…………。」

いないのか?

「まっ」

「先生ー。真柴くんはいるんで大丈夫でーす。次、いって下さーい。」

と、他の真柴ではない生徒が言った。


「いや、いるなら真柴くんはなんで返事をしないんだ。」

「先生?もう、いいから次に進んでく」

「はいはい。なんですか山中せんせー。」


ザワザワ……

その声にクラスがザワつき出した。

なんだ、あいつは。


「君が真柴くんか!返事はしっかりしなさい!次ー!渡部ーーー……。」

「桃原 な」

「桃原さんは休みです。それから、桃原さんは明日から呼ばなくていいです。」

「え?」

名前を呼び終わる前にそう言われた。

呼ばなくていい?
どういうことだ?




このクラスは何だか変なことばかりだ。

あの大きな態度の真柴。

呼ばなくていいと言われた桃原 渚。