「あぢぃー…あっぢーよぉ…」



灼熱の太陽をたっぷり吸い込んだアスファルトの上

あたしたちはひたすら歩く

「なぁ…今日ってさ…雨降んじゃなかった?」


あたしは、後ろでダラダラ歩く美咲を無視して、少し速度を速めた。

「…おーいー、先いくなー…ひまわりー」


「その名前で呼ぶなっ!置いてくぞ!」



あたしの名前は里田ひまわり。

下の名前で小さいときはよくいじめられた。

だから、今では無理矢理、苗字で呼んでもらっている。


「おぉ!やっと信号!命の信号!命の日陰ー!」

日陰に入ってふと気付いた。
歩いて学校の反対側の地区に来るのは、なにげ初めてだ。
あたしは今年に入ってすぐ、お母さんの実家がある、この塩釜に引越してきた。
ちょうど、中学校に上がる時だったので、他のみんなも新しい出会いにキラキラしていた。
そんなとき、声をかけてくれたのが美咲と香澄だった。


「んで、香澄ん家ってこっからどっちに行くの?」

「みーぎー!」


美咲は大きく手をあげて横断歩道を渡った。