ただひとつ

胸の奥につっかえているもの……




「センパイっ!帰りましょう♪」



「春木くん!」




それは、春木くんの存在だった。




「わざわざ迎えに来てくれたの?ありがとう。」


昼には解散になり、バラけ出すクラスメイトの間を縫って春木くんは私の席まで来てくれた。



「早く帰りたいんです。腹減ったし。」


「ちょ、不自然なこと言わないでよね!」



普通彼女に向かって早く帰りたい、なんて言わないよ!

同居してない限り……




周りからは割と公認感が出てきたけど、

やっぱりファンの子からは鋭い目で睨まれる。



もうほとんど気にならなくはなったんだけどね。