もうほとんど覚えていない。 知っている顔も、家に置いてある遺影のものだけ。 怒ったとき、大きな口を開けて笑ったとき、 どんな顔をするのか もう分からない。 でも春木くんは違う。 ただ階段から落ちただけ。 それくらいで私の前からいなくなったりしないよ。 言い聞かせても、 なぜか嫌な予感が胸中から消えなかった。