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部活が終わり、後輩たちにまた詰め寄られる前に一華と美術室を出た。
「もう、あの子たちも冗談が過ぎるよね。」
「そうかな……」
「え?」
一華は私の顔を見ながら呟いた。
「あながち冗談じゃないかも。」
「い、一華まで!!」
「だって凛可愛いもん。」
「みんな私のこと買いかぶりすぎだよ……」
「そう思ってるのは凛だけかもよ?」
「……そんなこと言うなら一華の方が……」
「ハイハイ。どうもありがとう。」
一華は棒読みで私にお礼を言った。
信じてない……
私より一華の方が大人っぽいし、上品だし、全然可愛いのに……
私は納得できない気持ちをなんとか飲み込んだ。



