兄さんの用意した朝食(?)をたべてから私服に着替える。
デートは勘弁だけど、わたしにとってメガネは必要不可欠なもの。
学校に行くためにも買わなければならない。
でも一人では行けないので、必然的に兄さんと一緒に行くことになるという。
あのメガネ、気に入ってたのになぁ……
「用意できたかー?」
「うん」
小さなカバンにケータイを入れて部屋を出ると、なぜか服装に力を入れてそこに立っている兄さんが。
いや、いつもの服装もかっこいいとは思うけど。
……なぜ今日に限ってそんなに力を入れているんだ。
と突っ込みたい。
「……六花、その格好で行くのか」
「? そうだよ」
まるでこの世の終わりだ!みたいな顔でそんなことを聞く兄さんに首を傾げる。
別にいつもと変わらない格好なのになぁ。
と言っても、白いブラウスにネイビーのスキニーパンツというシンプル極まりない格好だけど。
「六花…頼むから俺とのデートぐらいもっとかわいい格好して!!」
せっかくかわいいのになんでそういうとこ無頓着なの!?
と、理不尽にも聞こえる非難を受けるわたし。
そういうのに興味がないんだから仕方がないじゃないか、と言ってやりたい。
というかデートじゃないし。
普通の買い物だし。
突っ込みどころ満載だなおい。
……なんて言ってしまうと拗ねてしまうのは確実なのでため息で我慢する。
「それ以上文句を言うなら、兄さんとじゃなくてナルちゃんと行くから」
「よし、じゃあさっさと行こうか六花」
その顔にキラキラスマイルを浮かべてわたしを見る兄さん。
そんなにわたしと行きたいのか。
このシスコンめ。
はぁ、と今一度盛大なため息を落としてわたしは兄さんのあとをついていった。