わたしは兄さんにできるだけのことを話した。


恭くんとカインくん、二人と友達になったこと。


しばらくは何もなかったのに、いきなり嫌がらせが始まったこと。


これからどうすればいいのかなどなど。


その他の話は省略で。



「ふーん……」


「ねぇ、兄さん」


「ん?」



何?と聞いてくる兄さんにわたしは少し間をあけて口を開いた。



「わたしは二人の友達で、恋愛対象じゃない。
それなのにどうしてわたしなんかに嫌がらせをするのかな?」



恋愛対象云々ならまだ分かる。


だってそれは自分にとってのライバルになるってことだから。


でも、他の人から見たら、そんなに二人のそばに異性であるわたしがいるのが許せないことなのだろうか。


それがたとえ友達だとしても。


恋愛感情がないとしても。



「んー……俺はまぁ、実際のその友達ズを知らないからなぁ。

ヘンなことは言えないけど、そいつらってイケメンなわけだろ?」


「うん。十人中十人がそう答えるぐらいのイケメン」


「おぉ。六花がそんなこと言うなんて珍しいな」



クク、と笑って兄さんはテーブルの上のビールに手を伸ばす。


この人意外に酒豪だったりする。


ここは多分父さん似。



「だからさ、六花の友達は寄ってくる女たちはみんな自分に好意を持ってるってのを分かってる。

分かっててわざわざ迷惑この上ない友達を作るやつはいないと思うぞ?」


「はぁ……」


「期待させて無理っつうのも残酷だしなぁ」


「なるほど」



つまり、だから女の子たちはただの友達の座につくのも難しい。


なのによりによってこんな地味なやつがどうして二人のそばにいるんだコノヤローってことか。


だとしたら嫌がらせの理由としては頷ける。


納得納得。