「今ごろカインは苦悩してるだろうな」
「光景が目に浮かびますね」
やっぱりお姉さんには敵わないんだな、とわたしは苦笑した。
「白崎は?なんでここに?」
「わたしは古本屋さんに行く予定だったんです」
その途中に偶然恭くんを見かけて助けに入ったことを言う。
後ろ姿を見ても分からなかったことは伏せておこう。
だって、ほら……申し訳ないから、ね。
「そうだったのか……悪いな、巻き込んだみたいになって」
本当に申し訳なさそうに言うので、ちょっと笑いそうになる。
恭くんは、周りをよく見てるな。
カインくんのお世話とか、わたしに対しての気遣い、とか……
でも今回のことはわたしが勝手にしたことなんだから、そんな顔をしなくてもいいのに。
そう思うとなぜか笑ってしまった。
「ふふっ……本当に気にしなくてもいいですよ。
目的地にはあと少しで着きますし」
偶然かどうかは分からないけど、わたしが向かっている古本屋さんはこの通りを真っ直ぐ行ったところにある。
つまり遠回りも何もしてはなく、予定通りに進んでいるわけで。
恭くんが謝るようなことは何もない。
「古本屋か……こんなところにあるのか?」
「ありますよ。と言ってもちょっと分かりにくいと思いますけど。
……よかったら一緒に行きますか?」
そう誘うと少しびっくりしたように目を見張った恭くんに、わたしまで戸惑う。
人との交流がほぼ皆無だったわたしは、人との距離感がうまくつかめない。
もしかして、図々しかったかな……?
「す、すみません。別に嫌だったら遠慮なく言ってくれればいいですから、」
慌ててそう言うと、
「なんで?」
…………?


