不純な理由で近づきました。





放課後、恭くんもカインくんも用事があるのか一緒に帰ろうとは言われなかった。


かくいうわたしも本屋さんに行くという用事があったので好都合だったけど。



教室で簡単に挨拶を交わし、二人が出ていったあと少しして、わたしも学校を出た。


向かう先は駅前近くの古本屋さん。


中学時代のときに雨宿りとして入ったところがそのお店だった。


中はとても静かで、いつも古い本と紅茶の香りがしていて。


わたしの、すごく落ち着ける場所。


暇さえあれば入り浸っていたせいか、いつのまにかお店の人と会話をするくらいには常連さんだったり。


最後にきたのは入学式の直後だったっけ。


久しぶりだなぁ。


なんて考えていると、ふと視界の片隅に見覚えのある制服を見つけた。



あれは……わたしと同じ高校の制服。


まぁわたしが使う駅は最寄り駅だし、同じ制服の人がいてもおかしくない。


むしろ当たり前。


でも、わたしが気になったのはそれだけじゃなくて。


あの後ろ姿、どこかで見たような……


幸い向かう方面が同じだったらしく、歩きながらまじまじと見つめる。



うーん……ものすごく見覚えがある。


ということはわたしと面識があるわけで。


じーっと見ていると、綺麗な女の人がその男の子に近づいてきて何かを話しかけている。


あれは所謂逆ナンパ、というやつか。


うわぁ、初めて見た。


あんなに綺麗な人に誘われるなんて、それなりに整った顔してるんだろうな。



…………あれ、恭くんなんじゃない?


人って不思議。


一度そう思ってしまうとその人にしか見えなくなる。


でも今回はわたしの勘違いとかじゃなくてですね。


証拠にチラリと見えた横顔がちゃんと恭くんだった。


しかもものすごく機嫌が悪そう。