1段1段ゆっくりと慎重に降りて行くけど、後ろから来た人と肩がぶつかって思わず「きゃっ」と小さな声が上がる。
お、落ちはしなかったけど怖かった……
「大丈夫かっ?」
「うん!大丈夫」
ちょっとまだ心臓ドキドキしてるけど…
小さく笑ってほつれた髪を耳にかける。あと半分程の階段を再び降りようとして手が差し出された。
一瞬躊躇うものの素直に自分の手のひらを重ねる。
「あの、ありがとう」
「ん、」
そして引っ張ることなくわたしのスピードに合わせてくれる恭くんはとても優しい。
でもこれくらい、困ってたら誰にでもやるよね。わたしじゃなくたって……
そう考えたときズキリと胸が痛んだ。まるで何か針が刺さったみたいな…
「え……」
無意識のうちに声が出てしまうけど周りが騒がしかったせいか恭くんには届かなかったみたいでホッとする。
(わたし、今、なんて考えた……?)
自分で自分が信じられなくて驚いてしまう。
だって、さっきのわたしみたいに困っていた人がいたら、ましてそれが女性だったら尚更当たり前なのに、こんな風に助けるのがいいことなはずなのに……
(嫌、だなんて…)


