不純な理由で近づきました。




後半のは内緒だぞ、と茶目っ気たっぷりに笑ったおじさんに顔の強張りが自然と緩む。


大丈夫、この世界にはこんなに優しい人だっているんだ。怖くなんてない。



「ありがとうございます」


「おうよ。お姉ちゃん、たこなしでも愛情は入ってるからちゃんと食えよ!」



はい、と笑みをこぼしながら軽く頭を下げるとおじさんもニカッと笑ってくれて胸が温かくなった。


小さいときのことしか頭になくて怖いことにばかり目がいって忘れていたけど、世界にはこんなに優しさがあるんだ。


忘れてしまっていた、ありふれた優しさが今はとても愛おしい。なんだかふわふわとした気持ちを感じながら恭くんの手を握った。


わたしが希望したカステラと後は何種類かごはんになりそうなものを買って、そろそろ合流しようと恭くんがカインくんに電話をしてくれた。


この喧騒の中だとうまく声を拾えないみたいで恭くんは何度も「もう一回言って」と繰り返している。


これ、本当に合流できるのかな少し不安かも。そして食べ物が冷めないか心配。カステラは冷めても美味しいからいいけど他はそうもいかないよね。