不純な理由で近づきました。




「イリア、サユ、ちょっとこっちきて」



あんまり先に行かないでよ、と2人の後ろ姿に声をかけるカインくんの声にわたしは顔を上げた。


いつの間にか前の2人とは距離があいていて。でもこの人の多さに全員で辿り着くのは大変そうだ。



「あぁもう、イリアもサユも聞こえてないし。恭、ボクあの2人について行くからこっちはよろしく」


「あぁ」



それじゃあまた後で、とカインくんは人混みの中に紛れていった。


ついて行かなくて大丈夫だろうかと心配するけどカインくんはしっかりしてるし……大丈夫だよね。



「六花、こっち」


「あ、うん。ユスラちゃんも」



はぐれないようにと兄さんから差し出された手を取り、反対の手でユスラちゃんの手を掴む。


邪魔にならないようにと人混みから抜けて少し外れると恭くんとナルちゃんの姿があった。



「あ、来たねー。りっちゃんもユスちゃんも大丈夫だった?」


「うん」


「だ、大丈夫です」



よかったぁ、とふわりと笑うナルちゃん。



「俺に言葉はねぇのかよ」


「トモはかけるだけムダー」



兄さんのこめかみ辺りにある血管がぷつりと切れた音を感じてわたしはユスラちゃんの手を引いてそっと兄さんから離れた。