不純な理由で近づきました。




社交辞令だとは分かっていても褒められるのは素直に嬉しい。自然と頬が緩んでしまう。



「カインくんも似合ってますよ」


「そう?髪がこれだからね、ちょっと心配だったんだ」



確かにカインくんは全体的に外国の人にも見えるから、浴衣にも似合う似合わないはありそう。


でも基本かっこいいから何を着ても結局はかっこいいんだろうなぁ。



「六花、俺は?」



え、と顔を声の方に向ければ恭くんがいて。



「カインは褒めて、俺は褒めてくれないの?」



首を傾げて聞いてくる恭くんに卒倒するかと思った。


浴衣効果なのかいつもよりい、色気があるように見えてカァッと一瞬で顔が熱くなる。


セクシーなバリトンボイスが返事を催促するかのように「ねぇ」と耳をくすぐるものだから、わたしは誘われるように口を開いて。



「きょ、恭くん…」


「ん?」


「っ、その…か、かっこいい、ね……?」


「……」



あ、あれ?よく分からないけど疑問形になってる?


本当にそう思ってはいてもこれじゃあ顔色を窺っているみたいで卑怯だよね。



「ちゃ、ちゃんとかっこいいよ!すごく、似合ってます……」



取り繕った感が否めないけど必死にそう伝えるとカインくんがなぜか吹き出して。


いきなりのことでキョトンと呆気にとられる。えと、なぜ笑われたのでしょう……?



「カイン…」


「いやいや、ごめんって。恭も大変だ」



煩い、と言う恭くんの頬はほのかに紅潮していて照れているみたい。


言ったことに嘘はないけどあんなに恥ずかしげもなく「かっこいい」と言った自分に今さらのように気づいて頬が火照る。



「おーい、りっちゃんもきょーくんたちもそろそろ行くよー」



ニッコリと笑って手招きするナルちゃんに頷いてわたしたちはみんなのところに向かった。