友達がいなかったわたしの中学時代と比べると、ダイヤモンドとそこら辺の石ころぐらいに輝き度が違うんだろうな、と思って少しおかしくなってしまった。



「あ、着いた。ここだよ」



大通りから外れ、細い道を五分ほど行ったところにそのお店はあった。


こぢんまりとした小屋みたいな温かい雰囲気のお店。


ドアを開けるとお客さんを知らせるベルがチリン、とかわいらしい音をたてた。



「こんにちはー」


「あっ、カインだ。いらっしゃーい!」



どーも、と親しげに店員(?)の人と話す枢くんの姿を目で確認しながら、わたしはキョロキョロと周りを見渡す。


店内も想像していた通り、オレンジ色の柔らかな光に満たされていて。


なんだかホッとして、知らず知らずのうちに入っていた力が抜ける。



それにしても、枢くんとあの女の店員さん仲よしだなぁ、と見ていると、いつのまにか隣に一ノ宮くんが立っていてドキリとする。



あぁ、心臓に悪い。



「あの二人、従姉弟同士なんだ」


「そうなんですか?」



そういえば、よくよく見ると目元が似ているような……あと雰囲気。


金ないときにお世話になってる、という話にクスリと笑みがこぼれた。



「恭ー、白崎さーん。奥の個室空いてるって!」


「あぁ」



個室? このお店、小さいとばかり思ってたけど、個室があったんだ……


一人感心していると、枢くんと話していた綺麗な店員さんと目があった。


とりあえず、と思って小さく会釈をする。



「わぁっ、カインと恭くんが女の子連れてるなんて珍しいね!!」



パッと笑顔で近づかれ。



ど、どうすればいいんだろう……


ぐいっと顔を近づけられたとき、ふわりと柑橘系の香りがした。