「よし。オッケー。少し休憩!」
「おっしゃー!」
ミレが手を上げてそう言うと、緋人は嬉しそうに声を上げる。
それから、すぐにあたしを見た。
「杏奈っ!見た?」
そんな大きな声を出さないで欲しい。
ここまで来てからでもいいじゃないか。
現にスタッフにクスクスと笑われてるよ。
あたしは少しだけ恥ずかしくなりながら、何度も頷く。
満面の笑みを向ける緋人はあたしの前まで走り寄った。
「惚れただろ?」
「はいはい」
「はは!緋人は本当に杏奈ちゃんにゾッコンなのね!」
隣にいた桜井さんは面白そうに笑った。
それに更に恥ずかしくなるあたし。
「まあ、そうっすね」
緋人は肯定すると、ニカって歯を見せて眩しいぐらいの笑顔を見せる。
そこへ。
「ひーのーとぉぉ!!」
「あ」
低い声を出してこっちにズンズンと向かって来る女の人、一人。
メガネをして、長い髪の毛を揺らす。



